あたかも風船のように | 東進ハイスクール西新井校|東京都

ブログ

2017年 5月 25日 あたかも風船のように

受験生の後輩たちが校舎で黙々と勉強しているのを見て、自分も負けていられないと思ったある日、大学での専攻である数学を復習していた。

それは授業後に行われたテストの結果が思ったより取れてなかったから。

「対数法則を証明せよ。」

「以下の数列の極限を…。」

「三角関数の性質から、加法定理を証明せよ。」

 

高校で当たり前のように習ったことが解けない。

焦りを感じた。

 

 

それから数日後。

ふと、ある昔の日を思い出した。

 

 

 

「ねえ、パパ!あの浮かぶ風船買って!」

「そんなものを持っていたって何もならないだろう。」

「まあまあ、普段理王はわがままを言わないでしょ。今日くらい買ってあげましょうよ。」

6歳くらいのある日。まだ両親を「パパ」、「ママ」と呼んでいた頃、私は両親とまだベビーカーに乗っている妹と一緒にデパートに来ていた。

 

その頃、私は自分の息で膨らませた風船しか持っておらず、遊園地やデパートで売られている宙に浮く風船が気になってしょうがなかった。元々あまり何々を買ってとは言わない子供だったが、その時デパートで風船が売られているのを見て、欲しいと思ったのだ。

 

泣く子と地頭には勝てぬ、の言葉のままに、珍しく駄々をこねた私に両親は折れ、浮く風船を買ってくれたのだった。

 

念願の風船を片手に、満足していたその時、吹き抜けの高い天井に、赤い風船が突っかかっているのが見えた。

ふと気になって父に聞く。

「ねえ、あの風船ってなんであそこにあるの?」

「誰かが手を放したんだろう。あの天井より上に行けないからあそこに留まっているんだ。」

それを聞いたとき、すこし怖くなった。

「じゃあ、もし天井が無かったら、あの風船はどうなるの?」

「どこまでも飛んで行って、二度と帰ってこないわね。」

続けて母が言う。

「だから、大事にその風船を持っていなさい。」

「うん…。分かった。ママ。」

 

自分が手を放したら風船は二度と戻ってこない。

それが怖くて、家に帰るまで風船をぎゅっと握りしめていた。

 

 

 

風船は手を放してしまったら、すぐに飛んで行ってしまう。

記憶したことは復習を怠れば、すぐに忘れてしまう。

 

受験生活で、たくさんの知識を得て、色々な問題が解けるようになったのが楽しかったあの日々。

でも、大学に入って使わなくなった科目は、どんどん忘れていってしまった。

自分で得た憧れの風船を自分で手放した、その事実が酷く悔しかった。

 

人の記憶はもろい。

エビングハウスの忘却曲線が示すように、一度覚えたことでもすぐに忘れてしまう。

そして、完全に忘れてしまえば、もう一度初めから勉強し直さなければ、再び知識を得ることはできない。

一度空に飛んで行った風船が戻ってこないように。

 

大学受験は、どれだけ知識の風船を持っているかに左右されます。

一度得た知識は離さないように、しっかり復習をしましょう。

知識が増えれば、掴み続けるのは大変だと思います。そこが踏ん張りどころです。

そういうときには、こう考えてみてください。

新しい事を覚えることは、とても楽しいことですよ。

もし辛くなったときは勉強は楽しいもの、そういう小さい子供の考えに戻ってみてもいいかもしれませんね。

 

 

 

…誰かが自分を呼んでいる。

振り返ると、そこには見覚えのある顔の男の子が立っていた。手には風船が一つ。

誰だ…まさか、昔の自分?

 

「お兄さんは、未来のボクですよね。」

6歳の自分は言葉を続ける。

「未来のボクは、いくつ風船を持っているの?」

 

 

 

次の瞬間、自分は薄暗い部屋にいた。

どうやら夢を見ていたらしい。

 

昔の自分が幻滅しないよう、勉強をし続けなきゃと思った。

 

明日の開館時間 11:30-21:45

明日のブログ 久保井担任助手

過去の記事